コントラクトの構造
Solidityのコントラクトは、オブジェクト指向言語のクラスに似ています。 各コントラクトは、 状態変数 、 関数 、 関数モディファイア 、 イベント 、 エラー 、 構造体型 、 列挙型 の宣言を含むことができます。 さらに、コントラクトは他のコントラクトを継承できます。
また、 ライブラリ や インターフェース と呼ばれる特別な種類のコントラクトもあります。
コントラクト のセクションには、このセクションよりも詳細な情報が記載されており、概要を説明するための役割を担っています。
状態変数
状態変数は、コントラクトストレージに値が永続的に保存される変数です。
// SPDX-License-Identifier: GPL-3.0
pragma solidity >=0.4.0 <0.9.0;
contract SimpleStorage {
uint storedData; // 状態変数
// ...
}
有効な状態変数の型については 型 セクションを、ビジビリティについての可能な選択肢については ビジビリティとゲッター を参照してください。
関数
関数は、実行可能なコードの単位です。 関数は通常、コントラクトの中で定義されますが、コントラクトの外で定義することもできます。
// SPDX-License-Identifier: GPL-3.0
pragma solidity >=0.7.1 <0.9.0;
contract SimpleAuction {
function bid() public payable { // 関数
// ...
}
}
// コントラクトの外で定義されたヘルパー関数
function helper(uint x) pure returns (uint) {
return x * 2;
}
関数呼び出し は内部または外部で起こり、他のコントラクトに対して異なるレベルの ビジビリティ を持つことができます。 関数 は、それらの間でパラメータと値を渡すために パラメータと返り値 を受け入れます。
関数モディファイア
関数モディファイアを使うと、宣言的に関数のセマンティクスを変更できます(コントラクトセクションの 関数モディファイア を参照)。
オーバーロード、つまり、同じモディファイア名で異なるパラメータを持つことはできません。
関数と同様、モディファイアも overridden にできます。
// SPDX-License-Identifier: GPL-3.0
pragma solidity >=0.4.22 <0.9.0;
contract Purchase {
address public seller;
modifier onlySeller() { // モディファイア
require(
msg.sender == seller,
"Only seller can call this."
);
_;
}
function abort() public view onlySeller { // モディファイアの使用
// ...
}
}
イベント
イベントは、EVMのログ機能を使った便利なインターフェースです。
// SPDX-License-Identifier: GPL-3.0
pragma solidity >=0.4.21 <0.9.0;
contract SimpleAuction {
event HighestBidIncreased(address bidder, uint amount); // イベント
function bid() public payable {
// ...
emit HighestBidIncreased(msg.sender, msg.value); // イベントのトリガー
}
}
イベントがどのように宣言され、dapp内でどのように使用されるかについては、コントラクトセクションの イベント を参照してください。
エラー
エラーは障害が発生したときの記述的な名前とデータを定義できます。 エラーは リバート文 で使用できます。 文字列による説明に比べて、エラーははるかに安価で、追加データをエンコードできます。 NatSpecを使って、ユーザーにエラーを説明できます。
// SPDX-License-Identifier: GPL-3.0
pragma solidity ^0.8.4;
// 送金資金の不足。要求したのは`requested`だが、利用可能なのは`available`だけ。
error NotEnoughFunds(uint requested, uint available);
contract Token {
mapping(address => uint) balances;
function transfer(address to, uint amount) public {
uint balance = balances[msg.sender];
if (balance < amount)
revert NotEnoughFunds(amount, balance);
balances[msg.sender] -= amount;
balances[to] += amount;
// ...
}
}
詳しくは、コントラクト編の エラーとリバート文 を参照してください。
構造体型
構造体(struct)は、複数の変数をグループ化できるカスタム定義の型です(型の項の 構造体 を参照)。
// SPDX-License-Identifier: GPL-3.0
pragma solidity >=0.4.0 <0.9.0;
contract Ballot {
struct Voter { // 構造体
uint weight;
bool voted;
address delegate;
uint vote;
}
}
列挙型
列挙(enum)は、有限の「定数値」を持つカスタム型を作成するために使用できます(型の項の 列挙 を参照)。
// SPDX-License-Identifier: GPL-3.0
pragma solidity >=0.4.0 <0.9.0;
contract Purchase {
enum State { Created, Locked, Inactive } // 列挙
}